毒舌!ゆるキャラ図鑑

ゆるキャラ制作の経験を持つ筆者が、人様のゆるキャラを勝手に斬ります。

 



メガネくん(ゆるキャラ図鑑No.20)

こんにちは。ぼけねこです。

 

世間は東京五輪のロゴ盗作問題で揺れていますが、

今回紹介するのはこの方

メガネくん

メガネくん




 




この方は株式会社メガネハウスのゆるキャラですが、

何かに似ていると思いません?

 

 

 

割れた顔、一頭身の体のつくり。

 

そうです。

 

Dr.スランプアラレちゃんのニコチャン大王にそっくりなのです。

 

 

 

 

 

ついでにいうと、「メガネくん」という名前は、

スラムダンクの小暮君の愛称とも重なるところがあります。

 

 

 

本記事で紹介するメガネくんは、

容姿から名前にいたるまで誤解を招きがちな、なんともややこしいキャラクターなのです。

 

それでも、ただひとつハッキリといえるのは、

デザインにメガネっぽさがあまりないということです。

まあ、インパクトがあるので良しとしましょう。

 

 

 

 

けど、「パクリ」と「そうでないもの(オマージュ)」の境界ってなんなんでしょうね?

 

そもそも、その境界を探ること自体に意味ってあるんでしょうか?

 

最近では東京オリンピックのエンブレムが「パクリではないか」と話題になっていますし、

せっかくなので考えてみたいと思います。

 

 

まず、オリンピック問題に限らず、「パクリ」といわれるもの全般について、

パッと浮かぶところでは、下記の二点が論点になっているような気がします。

 

 

①作者がパクリ元の作品を知っていたかどうか(意図的にパクったのか)?

②プラスαの何かを生み出せているか?

 

 

①ですが、「パクリ」が意図的かどうか、本人以外知るすべがありません。

追求することもできなくはないですが、いたちごっこみたいで、

この切り口はあまり建設的とはいえない気がします。

 

 

では、「②プラスαの何かを生み出せているか?」はどうでしょう。

 

例えば、浦沢直樹のPLUTOは、

手塚治虫の鉄腕アトムの中の『地上最大のロボット』という話を下敷きにしており、

作中にもアトムやウランちゃん、御茶ノ水博士といった面々が登場します。

 

キャラクターだとか、大枠での設定については、

手塚治虫の原作を「パクって」いるんですね。

 

同じ漫画では、井上雄彦のバガボンドは吉川英治の宮本武蔵を「パクって」いますし、

小説では、芥川龍之介の代表作・トロッコは、志賀直哉の真鶴を「パクって」います。

 

また、ちょっと違うかもしれませんが、宗教画の最後の晩餐なんかは、構図を変えたりしながら、様々な作家が似たような作品を描いています。

 

もっといえば、小説の映画化や漫画のドラマ化だって原作の「パクリ」です。

 

これら作品が批判されないのはなぜでしょう?

正直、定量的なモノサシを持ってくることは難しいと思います。

 

判断基準となっているのは、「文化、歴史、社会、その他もろもろの背景」ではないでしょうか。

 

たとえば、PLUTOやバガボンドが原作と「ここがこう違って、こういう風に素晴らしい!」だなんて完全に個人の感覚です。

 

トロッコに関していえば、限りなく真鶴と近い内容です。

それでもあまり文句を言われなかったのは、当時がいまほど著作権にうるさくなかったという背景があるからです。

 

絵画に関していえば、「最後の晩餐」という場面が、一つのテーマにまで昇華されている、という背景があります。

 

また、ドラマ化、映画化にしても、当たり前に行われているので気になりませんが、あれだって、受け入れる側の土壌次第では完全なパクリになり得るのではないでしょうか。言い方は悪いですが、原作に映像と音を付け加えただけ、と批判することだってできます。

 

 

つまり何がいいたいかというと、「②プラスαの何かを生み出せているか?」について、結局はさじ加減次第ということです。

 

なので、「パクったのかどうか」という事実を判別すること自体に、

あまり意味はない気がします。

 

 

わたしたちがハッキリとできるのは、その作品自体を「良い/悪い」と評価することだけです。

 

消費者、鑑賞者として作品に向き合い、それ自体に評価を下す、というのが一番シンプルで、一番建設的な方法だと思います。世の作品は有機的につながり合っていますし(はっきりと意識はしなくとも、互いに影響を与え作品は生まれていると思います)、「パクリ」に対する締め付けをあまり強くすれば、世の中から創造性を奪う結果となってしまうでしょう。

 

 

「パクられた制作者の利益は毀損されないのか?」という反論もあるかもしれませんが、パクられたことにより注目を浴び、結果的に売上が向上した、という可能性だって十分あると思います。

 

 

なのでわたしは、世のパクリ問題に関し、「作品自体の良し悪しだけを見たい」という立場を取りたいと考えています。

(ちなみに、東京オリンピックのロゴは嫌いです。左右非対称なせいか、なんとなく不安になるデザインです)

 

 

 

***

 

ちょっと真面目になり過ぎました。

 

最後に一つだけ。

 

そもそもパクリが問題になるためには、「その作品が有名か?」

という点が不可欠だと思います。

 

今回の東京オリンピックのロゴの件でいえば、

「パクった」ロゴが世界中に出回ったから(というよりオリンピックで使用されます)、取りざたされたわけです。

 

その点、今回のゆるキャラ・メガネくんが問題になる可能性は限りなくゼロに近い、ということに言及し、本記事を締めさせていただきます。 

 

 

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